昔昔、貧乏旅行が趣味でした。暇をみつけては色々な場所に出かけたものです。(とはいっても本格的な旅人の方々から見ると、お笑いなのですが)そんな中から『水』にまつわる思い出を書いてみたいと思いますので、お付き合い下さい。十数年ぶりにベネチアを訪れることができました。しばらく仕事を休ませていただいた罪滅ぼしに若干のご報告させていただきたいと思いますので、宜しくお付き合いのほどお願いします。
海上レストラン、というと某有名マンガに出てくるあれを思い浮かべる方もおられると思いますが、この街には本当に海上のレストランがいくつかあります。
泊まったホテルのレストランも実はそんな感じで、室内にもちゃんと席があるのですが、メインの席は大運河上に張り出した大きなテラスの上です。見上げれば緑と白のストライプの日よけのテント、足元の床板の間からは時々ちゃぷちゃぷと打ち寄せる波の音が聞こえてきます。
テラスの隣はホテルの桟橋になっていて、到着したり出発したりするお客のボートがやってきます。お客さんを乗せたゴンドラが通ったり、相変わらず満載状態の水上バスが通ったりもします。目の前には船首のかざりに青いカバーを被せたゴンドラが何隻も係留中です。本体のテラスからはさらに張り出した特別席があり、そこだけは2人席になっています。きっとこれはうれしはずかし新婚さん専用のお席なのでしょう。対岸にはサルーテの教会がなんだかタージマハルの小型版のような姿を見せています。その隣はなにやら延々と工事中で、ちょっと風情をそがれるのですが。雨が降っても大丈夫。スタッフがスイッチを入れると数秒で透明なスクリーンが下りてきます。
ところがこのテラス席は鳥たちにも特等席らしく、ちょっと目を離すとハトやらスズメやらがパンくずをつつきにやってきます。ウェイターさんたちが大げさな身振りで追い払ってもすぐにかえってきてしまい、図太い奴などはテラスの手すりに止まって隙をうかがっています。席をはずそうとして、ふと振り返ると小鳥がテーブルに乗っていたりすることも。
サン・マルコ広場のハトさんも、観光客の頭上数センチのところを飛んでいったりしますが、鳥たちの根性がすわっているのもお国柄なのでしょうか。


