昔昔、貧乏旅行が趣味でした。暇をみつけては色々な場所に出かけたものです。(とはいっても本格的な旅人の方々から見ると、お笑いなのですが)そんな中から『水』にまつわる思い出を書いてみたいと思いますので、お付き合い下さい。十数年ぶりにベネチアを訪れることができました。しばらく仕事を休ませていただいた罪滅ぼしに若干のご報告させていただきたいと思いますので、宜しくお付き合いのほどお願いします。


半端ではない雷雨に会いました。
朝から少し降り出していたので、ホテルの傘を借りて外出していたのですが、そのうち本降りになってきました。
サンマルコ広場の両替商が免税手続きのコーナーを兼ねているので、そこで手続きをしていたのですが、雨音で分厚いガラスの向こうの担当者の女性が何を言っているのかよく聞こえません。
インド系と思しきイタリア女性が、英語で日本人にめんどうな手続きを説明するというただでさえややこしい状況にも関わらず、これが半分も聞こえないのです。
とうとう彼女はマイクを引っ張り出してきたので、こちらはスピーカーに耳を付けるようにしてどうにか了解しました。やれやれ、やっと済んだ、と思って振り返った瞬間にのけぞるほど驚きました。
ここはスパゲッティの国ですが、讃岐うどんほどもある雨が轟々と音を立てて真っ暗になった空から降っています。
広場の屋根のある部分はすでに避難した観光客で一杯。
「わっ!」と驚くと、すぐ後ろにいたドイツ人女性がくすくす笑います。が、すぐあとに大きな雷鳴がとどろき、彼女を含めて数十の国語で悲鳴があがりました。
このあと、広場を抜けるのに30分以上かかったのですが、ふと振り返るとサンマルコ寺院の屋上テラスに1人傘を手にたたずむ人影。豪雨の中、孤独に広場の雨にまどう数千人を見下ろしています。
あの人はただの観光客だったのか、それとも過去からやってきたベネチア総督の誰かのユーレイだったのか…



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