母乳が出ない原因はひとつだけではなく、母乳が不足しているときはミルクの併用も検討しましょう

産後1か月を過ぎても母乳が出ないと、ママは心配になってしまうでしょう。この記事では、母乳が出ない原因と対策法を解説します。

自分でできる対策もありますので、ぜひ参考にしてください。また、いろいろと試しても母乳の出が悪いときの相談先や、ミルクを併用する方法も併せて解説します。

母乳が出ない原因とその影響

母乳が出ない原因はひとつだけではありません。複数の要因が関係していることもあるため、母乳の出が悪く悩んでいる方は、ひとつずつ問題を取り除いていきましょう。

母乳が出ない時期と主な原因

母乳が出ない原因のひとつに、産後にホルモン移行が上手くいかない問題が挙げられます。母乳を出すためにはプロラクチンやオキシトシンといったホルモン分泌が必要ですが、分泌量が増えるまでの期間には個人差があり、産後直後に母乳が出ないことはよくあることです。

中でもオキシトシンは、赤ちゃんに乳首を吸われる刺激や、抱っこをするときの肌の触れ合いで分泌量が高まります。赤ちゃんが乳首を上手くくわえられなかったり、授乳回数が少なかったりすると、オキシトシンの分泌量が増えずに母乳量が減少しやすくなるため注意が必要です。

また、産後の母乳量が少ない原因のひとつに、母体の問題が挙げられます。慣れない育児で睡眠不足に陥っているときや、ストレスにより母乳の出が悪くなることがあります。

母体の栄養不足も母乳が出ない原因になるため、産後はバランスの良い食事を心がけ、心身のケアを意識するようにしてください。

母乳を出したいママの悩みと不安

母乳の出が悪いと、赤ちゃんの栄養が不足しているのではないかという不安により、ストレスを抱えがちです。特に真面目な方ほど陥りやすい問題で、「母乳で育てたい」という想いが強いほど、焦りや不安が強くなってストレスが大きくなります。

また、ママ自身がそこまで母乳育児にこだわっていなくても、周りの人から「母乳育児が一番」と言われると、その言葉がプレッシャーになりやすいものです。自分の母親や義母からの言葉は特に影響力が強くなりやすい傾向があります。

このように周りからの圧力がかかると、「ダメなママ」だというレッテルを貼られた感じがして、自分を責めてしまうママは少なくありません。小さな不安が積み重なっていくと、交感神経が優位に働きやすく、母体の血流が悪くなって母乳の出が悪くなる原因になりかねません。

母乳が出ないときに不安感が強くなるようなら、専門家に相談してみましょう。悩みを話すだけで心が軽くなりやすく、専門家からの助言は問題解決の糸口を提示してくれる可能性もあります。

産後の母乳不足が赤ちゃんに与える影響

産後直後は赤ちゃんの体がまだ小さいため、母乳の出が悪くても赤ちゃんの成長に大きな影響を及ぼすことはありません。しかし、初乳には赤ちゃんの免疫力を高める成分が含まれているため、感染症予防のためにできるだけ与えるようにしたいものです。

また、産後数か月にわたり母乳が不足すると、赤ちゃんの成長に影響を及ぼす可能性があるため、早めに専門家に相談するようにしてください。赤ちゃんにとって母乳は重要な栄養源であり、不足すると体重が増加しにくくなります。

さらに、母乳が不足すると、赤ちゃんの排便回数が減ります。その結果、体内のビリルビンが排出されにくくなり、新生児黄疸のリスクが高まるため注意が必要です。

母乳が出にくい体質や特徴とは?

母乳量はその人の体質に影響されることがあります。個々の原因を理解すると問題が解消されやすくなりますので、以下で紹介する体質に当てはまるか確かめてみてください。

出産後、母乳が出ない人の割合

厚生労働省による「平成17年度乳幼児栄養調査」によると、産後1か月で「母乳が不足ぎみ」だと答えた割合は32.5%、「母乳が出ない」と答えた割合は15.6%でした。

しかし、妊娠中や産後に母乳育児の指導を受けた方の母乳育児率は67.8%なのに対し、指導を受けなかった方は27.1%と低く、適切な指導があれば母乳の出は改善されると言えます。

出産直後は半数近い人が母乳の出の悪さを実感していますが、母乳育児指導では赤ちゃんに吸わせる刺激が大切だという教育がされることが多く、そのとおりに進めれば徐々に分泌量が増えるのが一般的です。

産後1か月を過ぎても母乳の量が少ないときは、別の問題の可能性があるため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

乳房が張らない人の特徴とその理由

母乳の出が悪いママには、共通する特徴が見られています。それは、妊娠中に乳房の張りが少なかったことです。

妊娠中はホルモンバランスが変化して乳腺組織が発達し、産後に母乳が出る仕組みです。しかし、甲状腺機能が低下している方や、高プロラクチン血症の方は、妊娠中のホルモンバランスが乱れて、十分に乳腺組織が発達しないことがあります。

また、過去に乳房の切除手術を受けたなど、乳腺組織や神経に損傷を受けた方も注意が必要です。これらの問題が考えられるときは、医師や助産師に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。

初産で母乳が出にくいママの体質

ママが初産の場合は、産後直後に母乳の出が悪くなるのは一般的なため、それほど心配する必要はありません。産後のホルモンバランスの変化には個人差があり、初産の場合はホルモン移行がスムーズに進まず、母乳が十分出るまで時間がかかることがあります。

また、初産の場合は、初めての育児で不安を抱えやすい点も、母乳の出が悪くなりやすい原因のひとつです。ストレスは母乳の出に影響を及ぼすため、リラックスしながら赤ちゃんと育児を楽しむようにしましょう。

母乳が出ないときはまず助産師へ相談を

母乳の出が悪いときの相談先として、助産師が挙げられます。助産師とはどんな存在なのか、またどんな指導をしてくれるのか、以下で詳細を解説します。

助産師の母乳ケアとは?

助産師は、その名前から出産のサポートをしてくれるイメージを持つ方は多いでしょう。実際にそのとおりで、正常分娩であれば医師の指示なしでも、助産師だけで赤ちゃんを取り上げてくれます。

また、助産師は産後のママや乳幼児のケアにも対応してくれます。そのひとつが母乳育児による指導で、ママの母乳の出が悪いときは、姿勢の改善や乳房マッサージの指導をしてくれるため、ぜひ役立ててください。

助産師は出産の介助だけでなく、産後ケア全般にも関わっている専門家で、悩み相談にものってくれる頼もしい存在です。ママの精神的なサポートは、助産師にとっても重要な仕事のひとつです。

赤ちゃんが飲みやすいおっぱいの作り方

助産師は、乳頭の柔らかさを出すためのマッサージ方法や、赤ちゃんが吸いやすいタイミングの指導をしてくれます。母乳の出が悪いときや、赤ちゃんが上手く吸えないときは、助産師に相談すると良いでしょう。

赤ちゃんが母乳を飲むためには、乳頭は耳たぶくらいの柔らかさになっていなければなりません。よく伸びる乳頭は赤ちゃんが吸いやすくなるため、オイルなどを塗るマッサージや、保湿ケアがおすすめです。

また、乳房が張りすぎても、赤ちゃんは母乳を上手く吸えません。授乳前に軽くマッサージを行い、ほぐすようにしましょう。

母乳のタイミングは、赤ちゃんの口が大きく開いたときです。赤ちゃんが泣いている際に乳首を近づけても口を開けないときは、別の原因の可能性があります。

マッサージを試す時のポイント

乳房マッサージは、痛みを感じない程度に優しく行うことがポイントです。強く押したり揉んだりすると、乳腺を傷つける可能性があります。

具体的な乳房マッサージのやり方については、助産師が指導してくれます。適切な乳房マッサージを取り入れることで、乳腺のつまりが軽減されるため、母乳の分泌を促すために効果的です。

授乳回数や乳頭ケアの適切な目安

生後1か月くらいまでは、1日に8~12回の授乳が目安です。生まれたばかりの赤ちゃんはまだ母乳を上手く吸えず、胃も小さいため、回数は多くなります。

赤ちゃんによっては、一度にたくさん吸えないことがあるため、赤ちゃんが欲しがるタイミングで母乳を与えましょう。回数が多いと乳首への刺激が増えて母乳の出が良くなるので、こまめな授乳がおすすめです。

母乳を飲ませたあとは、乳頭に少し母乳を塗ってから自然乾燥させると、乾燥を防いでひび割れにくくなります。

母乳が出ないときの対処法

母乳の出が悪いときは、ママができる対策があります。取り入れやすいものからぜひ試してみてください。

母乳分泌とホルモンの仕組みを理解する

母乳の出を促すためには、プロラクチンとオキシトシンという2つのホルモン分泌を促すことが重要です。プロラクチンは乳腺で母乳を作る働きがあり、夜間授乳で分泌量を高められるため、夜に授乳を行いましょう。

オキシトシンは母乳を乳管に押し出す働きがあり、赤ちゃんが乳首を吸うことで分泌量が高まるため、授乳回数を増やすことが重要です。リラックスしたときにも分泌が高まるので、無理しすぎず、育児を楽しんでみてください。

ハーブティーでホルモンバランスを整える

ママがリラックスするためや、血流を促す目的で、ハーブティーを利用する方法があります。母乳分泌を促すため、AMOMAハーブティーは多くのママが取り入れている人気のハーブティーのひとつです。

AMOMAハーブティーは、フェンネル・レモングラスの天然ハーブと、ノンカフェインのルイボスティーが入っています。ハーブが体質に合わないこともあるので、少しずつ試してみましょう。

ママの生活習慣の見直し

ママの食生活や生活習慣を見直すと、母乳の出が良くなることがあります。栄養面ではたんぱく質・鉄分・カルシウムの摂取を心がけてください。

十分に睡眠を取って、疲労を軽減する方法も有効です。昼寝を上手く活用したり、家族の協力を得ながら休息を取ったりしましょう。

運動や入浴で血流をよくする方法も有効な対策です。無理のない範囲の運動は、ママのストレス発散にもおすすめです。

母乳とミルクの併用で赤ちゃんの満足度アップ

母乳が不足しているときは、ミルクを併用する方法があります。ミルクを併用するメリットや、具体的な取り入れ方を以下で詳しく解説します。

母乳不足でミルクを検討するタイミング

母乳育児で赤ちゃんの体重が増えず、1日6回以下のおしっこの場合は、母乳が不足している可能性があるため、ミルクを与えることを検討してみてください。授乳後すぐに欲しがるときも母乳不足が考えられますが、体重が増えておしっこが出ているなら、一時的な欲しがり泣きの可能性があります。

母乳とミルクのバランスを取るコツ

ミルクと併用するときは、まずは母乳を与えましょう。生後1か月くらいまでのミルクの量は1回120mlなので、授乳後の体重増加が80gなら、40mlのミルクを与えます。

ミルク併用で赤ちゃんとの授乳を楽しむ方法

ミルクを併用すると周りが授乳できるようになり、ママの休息時間が増えて、母乳の出が良くなる可能性があります。赤ちゃんの満足度が高まると泣く回数が減るため、ママも育児が楽しめるようになるでしょう。

(まとめ)1か月経っても母乳が出ないときのミルク併用のコツ

母乳が出ない原因はひとつだけではなく、母乳が不足しているときはミルクの併用も検討しましょう

母乳が出ない原因は複数あります。よくあるのが初産で体の変化に時間がかかっていることなので、焦る必要はありません。

赤ちゃんに乳首を吸わせたり、マッサージをしたりする対策で徐々に母乳の出が良くなることが多いため、この記事で紹介した対策をぜひ試してみてください。