寝る前に白湯を飲むと、血行促進、リラックス効果、睡眠の質向上などの効果が期待できます

お湯を沸騰させて飲みやすい温度まで冷ましたものを、「白湯(さゆ)」といいます。健康のために白湯を飲むタイミングは、寝る前がよいといわれていますが、本当でしょうか?

この記事では、白湯に期待される健康に嬉しい効果を解説し、白湯の効果を引き出す温度と白湯を飲む適切なタイミング、白湯を飲むときの注意点を解説します。

白湯に期待できる効果

白湯に期待できる、健康面での嬉しい効果とはどのようなものでしょうか?さまざまな働きの中から、4つを紹介します。

冷え性の改善

血流が悪くなると起きやすい冷え性は、白湯を飲む習慣を身につけると改善を期待できます。冷え性の原因とともに、冷え性改善につながる白湯のメリットを説明します。

白湯が冷え性を改善するといわれる理由
白湯を飲むと内臓が温まって全身の血行がよくなることを期待でき、その結果冷え性を改善するといわれています。これは、血行促進によって手足の末端まで血流がスムーズに行き渡るためです。

手足の冷えや慢性的な冷え性に悩む方は、白湯を飲む習慣をつけると、手軽で効果的な対策ができます。

・冷え性の原因

冷え性は、血行が悪くなり毛細血管へ血液が流れにくくなるために起こるといわれています。血管が収縮すると、心臓など重要な臓器へ優先して血液を送ろうとするので、ただでさえ心臓から遠い手足への血行はとどこおりがちです。

冷え性は自律神経の乱れも関係している場合があり、内臓が冷えている可能性があります。ストレスが原因で自律神経が乱れた結果、冷え性を引き起こすケースです。

白湯を飲んで血行促進し、内臓に血液が届きやすくなると、内臓が温まり改善を期待できます。さらに、白湯を寝る前に飲むとリラックス効果が高まりやすく、冷え性により夜寝つきが悪いと感じる方にはおすすめの対策です。

基礎代謝の向上

基礎代謝とは、食事や運動などの活動を何もしない状態で体が行う活動をいいます。基礎代謝の向上を期待できる、白湯の働きを紹介します。

・白湯がもたらす可能性のある内臓温度の変化

白湯を飲むと内臓温度が1℃上がり、その結果基礎代謝量が10~12%程度上がるといわれています。基礎代謝の向上は血流の促進にもつながり、食事でとったエネルギーの消費効率のアップを期待できます。

・ダイエットにもおすすめ

基礎代謝の向上は脂肪燃焼にも役立つといわれるので、ダイエットなど効率よく脂肪を燃焼したい方にとって、白湯を飲む習慣は手軽に代謝アップができる方法です。また、血行促進により消化器官の働きも活発になることを期待できるので、胃腸が冷えやすく消化不良になりがちな方にも白湯を飲むことはおすすめです。

美肌効果

毎日白湯を飲むと、肌を美しく保つことも期待できます。美肌につながるといわれる、白湯を飲む効果を解説します。

・血行促進

白湯を飲むと期待できる働きのひとつに血行促進があり、血流が上がると栄養が肌全体へ届きやすくなります。栄養が十分行き渡ることで、キメの細かい美しい肌へと改善するでしょう。

・老廃物の排出がスムーズになる

白湯を飲むと、腸内の毒素や老廃物の排出がスムーズになりやすく、不要なものを排出する習慣がつくと腸内環境の改善を期待できます。体内のデトックス効果が高まると、肌のターンオーバーも整うといわれており、ニキビやくすみなどの肌トラブルの防止・解消につながります。

・乾燥しにくくなる

白湯を飲んで体を内側から温めると、乾燥しにくい体になりやすく、肌の潤いにもつながります。乾燥は美肌を損なう原因になる可能性が高いため、日常的に白湯を飲む習慣をつけましょう。

便秘解消

白湯を飲むと胃腸の働きにも嬉しい作用があるといわれています。そのひとつ、便秘の解消に役立つ理由とタイミングを紹介します。

・ぜん動運動の促進

白湯を飲んだ直後から血行が促進され、消化器官にも十分な血液が届きやすくなり、胃腸の働きが活発になるといわれています。すると腸のぜん動運動が促進され、便秘の解消を期待できます。

ぜん動運動とは消化器官の運動のひとつで、腸の内容物を肛門へ向かって送る働きです。

・朝起きてすぐに飲む

朝目覚めたときすぐに白湯を飲むと、深部体温が上昇し、眠っている間に冷えた体が温まります。胃腸が刺激されて腸が動き出すので、毎朝白湯を飲む習慣を取り入れると、便秘の改善を期待できます。

便秘の改善は腸内環境の改善にもつながり、肥満の防止や免疫機能アップ、睡眠の質向上、ストレス軽減などに役立つでしょう。

・便秘の仕組み

通常、小腸で栄養を吸収した残りかすが、ぜん動運動により大腸へ送られます。大腸で水分を吸収したあと便となって体外へ排出されます。

しかし、腸の動きが悪いと残りかすが大腸にとどまる時間が長くなり、必要以上に水分を吸収して便を排出しづらくなった状態が便秘です。ぜん動運動が悪いため便の進みが悪くなり、便秘も悪化してしまいます。

白湯の効果的な飲み方:温度とタイミング

健康に嬉しい白湯の効果をきちんと得るためには、適切な方法で飲みましょう。効果的といわれる、白湯の温度と飲むタイミングを説明します。

・適切な温度

適切な温度を守って白湯を飲むと、期待される効果を発揮しやすくなります。白湯の温度と、温度計を使わず調整する方法を解説します。

・50~60℃でゆっくりと飲む

熱湯を冷ましてできあがる白湯の温度は、50~60℃が目安です。自宅に温度計があれば、ある程度冷ましたあと、温度を測ってから飲みましょう。

50~60℃は飲みやすい温度ですが、ひと息にたくさん飲むと内臓に負担がかかるほか、胃液が薄まる恐れもあります。冷たい飲み物をとったときほどではないものの、体を冷やし、食べ物の消化を妨げる場合もあります。

やや熱いと感じる温度の白湯を、やけどしないようにゆっくりと飲みましょう。コップ1杯の白湯を10~20分ほどかけて飲むと、体への負担が軽くなります。

・温度がわからないとき

温度計がない、または毎回温度を測ることは面倒と感じる場合は、沸騰したお湯にお水を1:1の割合で混ぜます。このとき混ぜるお水は水道水を避け、余分な成分を含まない純水がおすすめです。

水道水で白湯を作る場合、一度沸騰させる目的は余分な成分を除去することです。そこへ水道水を混ぜると、白湯のメリットが減ってしまいます。

飲むタイミング

白湯の温度だけでなくいつ飲むかにも配慮して、期待される効果を引き出しましょう。白湯を飲むおすすめのタイミングの、就寝前と起床後の飲み方を説明します。

・寝る前

寝る前30分から1時間のタイミングで白湯を1杯飲みましょう。血行が促進されて体が温まり、リラックスして質の高い睡眠をとることが期待できます。

睡眠中の体温低下の防止にも役立つため、冷え性で眠りにくい方やより快適に眠りたい方は、寝る前に白湯を飲むことがおすすめです。また就寝中も呼吸をし、汗をかいて多くの水分を失います。

水分が不足して血流がとどこおると交感神経が優位になり、睡眠の質を下げる恐れがあるため、水分補給のためにも寝る前の1杯の白湯が役に立ちます。

・起床後すぐ

寝ている間に失った水分を補給するために、起きてすぐ1杯の白湯を飲みましょう。寝起きは体温が低く消化器官も冷えているので、食べ物をすぐには消化しづらい状態です。

朝食の栄養をしっかりと吸収するためにも、白湯を飲んで体を温め、血行促進を心がけてください。胃腸が温まると消化がスムーズになり、1日の代謝を高めることにも役立ちます。

また、代謝が高まるととったカロリーを消費しやすくなるため、ダイエット中の方にもおすすめです。

白湯を飲むときの注意点

白湯を適切なタイミングで飲む習慣が身につくと、嬉しい作用を期待できますが、飲み方に注意があります。次の3点を守って白湯を効果的に飲みましょう。

摂取量の目安を守る

白湯は、たくさん飲むほど効果を期待できるわけでないので、適切な量を守って飲むようにしてください。1回に飲む量と1日の目安量を紹介します。

・1回に飲む量は150~200ml程度

就寝前や起床後など、白湯を飲むときは1回あたり150~200mlにとどめてください。一般的なコップ1杯程度の量ですが、小さめの湯呑などは下回る場合もあります。

あらかじめ容量を確認して白湯を飲むと、不足や飲み過ぎを防げます。コップ1杯の白湯は一気に飲まず、少しずつゆっくりと飲んで、無理なく水分を吸収しましょう。

・1日に700~800mlが目安

人が1日に必要な水分量は、1.5~2リットル程度といわれています。お水そのものだけでなく食べ物などからも水分補給をするため、白湯を飲む量は1日あたり700~800mlにとどめてください。

一度にまとめて飲まず、コップ1杯程度ずつに分けて飲むと体への負担が軽くなります。

飲み過ぎに注意

白湯の、健康に嬉しい効果を高めるために、たくさん飲みたいと思うかもしれませんが、飲み過ぎには注意が必要です。白湯を飲み過ぎた場合に起きる可能性のあるデメリットを紹介します。

・一度に大量に飲まない

白湯を一度にたくさん飲むと体に負担がかかり、最悪の場合は命に関わるケースもあります。大量の水分が体へ入ると腎臓の処理能力を超えてしまい、体内のミネラルバランスを崩す恐れがあるのです。

ときには希釈性低ナトリウム血症を引き起こし、疲労感や頭痛などが見られるかもしれません。重症になると意識障害や錯乱などの症状が見られる可能性もあります。

・飲み過ぎはむくみの原因になる

体内のミネラルバランスが崩れると、体調不良の原因になる場合があります。白湯を飲み過ぎるとナトリウムなどの血中濃度が下がり、深刻な症状を招く恐れがあります。

また、白湯の飲み過ぎは体内で一時的に水分量が増えて水太りになり、体重が増えたり体の一部にむくみが生じたりする可能性もあるのです。下痢を引き起こすこともあるので、白湯を飲む量は適量を心がけましょう。

腎臓の働きに不安がある方は、特に白湯を一度にまとめて飲まず、こまめに少しずつ飲むようにしてください。

温度管理

白湯の温度が高すぎると、食道や消化器官へ負担をかける可能性があります。白湯を飲むメリットを得られるどころか、逆効果になる恐れがあるため、50~60℃を心がけて飲んでください。

温度計で測ることが大変であれば、あらかじめ沸騰させ冷ましたお水、またはウォーターサーバーのお水を使います。熱湯に用意したお水を加えて、やや熱いと感じる温度に調整して飲みましょう。

(まとめ)

白湯は寝る前に飲むと血行が促進されて全身が温まり、リラックスした状態でよく眠れることを期待できます。就寝前だけでなく、起きてすぐに白湯を飲むと水分補給や内臓を温めるため、栄養の消化吸収を助けます。

1回に飲む白湯の量は150~200ml、1日では700~800mlが目安です。飲み過ぎるとミネラルバランスの乱れや、むくみが起きる場合もあるため、白湯は適量をこまめにゆっくりと飲みましょう。