水分代謝の低下が原因となるのは、筋肉痛ではなく「むくみ」です

運動をすると、その後でむくみと筋肉痛が起きることがあります。むくみは水分が関係していますし、運動で多量の汗をかくこともあり、筋肉痛と水分代謝には関係があると考えてしまうかもしれません。

しかし、実際には、筋肉痛が起こる仕組みは水分代謝とは無関係です。筋肉痛は、ダメージを受けた筋肉組織が修復される過程で起きます。

一方、むくみが起こるのは筋肉中に増えた乳酸を薄めるために、筋肉が水分を溜め込むことが原因です。水分代謝の低下に関係がある症状は、筋肉痛ではなくむくみのみと考えてよいでしょう。

筋肉痛とは、運動による筋繊維の損傷を修復する過程で起こる痛みと言われています

スポーツなど激しい運動をした後で腕や足の筋肉に痛みが生じるのが筋肉痛です。このつらい筋肉痛になるのは、水分代謝が原因ではありません。

水分代謝が原因ではないなら、なぜ筋肉痛になるのでしょう。

筋肉痛とは

筋肉痛とは、運動が原因で筋肉に痛みが生じることです。激しい運動により筋繊維が損傷して炎症を起こした状態なので、水分代謝には関係ないと言えるでしょう。

筋肉痛になる原因

運動不足なのに突然スポーツを行ったり、トレーニングなどで筋肉に大きな負担をかけたりすると、かかった負担が原因で筋繊維に小さな傷がつきます。この筋繊維についた傷が修復されるときに炎症が起きて痛みが生じるとされています。

また、筋肉で痛みを感じる物質が作られたり、痛みを感じる神経が過敏になったりすることも、筋肉痛の原因と考えられています。

むくみは、体内の水分代謝のバランスが崩れることで生じます

足がだるい、足がパンパンにむくんでいる、顔が太って見えるなど、体調不良だけでなく美容面でも問題になるむくみは、体内の水分が原因で生じると考えられています。むくみとはどんなものか、なぜ起きるのか解説します。

むくみとは

むくみとは、体内の細胞一つひとつに含まれている水分量が多い状態のことです。人間の身体の約60%は水分でできていて、体内の水分の3分の2は細胞内で保持、残りの3分の1が血液などの中にあり体内を循環しているとされています。

通常では、血液中にある水分が身体の中を巡って体内の水分バランスを整えているので、むくみが生じることはありません。ところが、体内の水分が不足しているなどの理由で、体内の水分バランスを整える働きが不十分になり、むくみの原因になると言われています。

血液循環の悪化

むくみの原因になる血液循環の悪化は、水分不足や座り仕事、運動不足などが原因のことが多いです。身体の中を循環している血液には、細胞内に栄養を運んだり、老廃物を排出したりする働きがあります。

水分不足により血液循環が悪化すると細胞内には水分が溜まりやすくなるため、むくみの原因になります。ずっと同じ姿勢で座っている座り仕事の場合、足の筋肉を使うことがあまりありません。

ふくらはぎなど足の筋肉には、血液を流す心臓のようなポンプの働きもあります。座り仕事や運動不足でずっと動かないでいると、体内の水分は重力で下半身に溜まったままになりむくみの原因になるのです。

また、外食が多いなど塩分の摂りすぎが続いていると、体内の塩分濃度を薄めるために身体が水分を蓄えようとするため、むくみが生じやすくなるでしょう。

むくみが生じる病気

むくみがひどい場合には、病気にかかっていることがあります。むくみが生じているときは、「腎臓」「心臓」「肝臓」などの病気にかかっているかもしれません。

血流が悪化していると、むくみが生じるだけでなく血液中に血栓ができてしまう場合もあります。むくみが改善せずにどんどん悪くなっているときには、早めに病院で診察してもらいましょう。

水分代謝を整えて、運動後の気になるむくみを改善しよう

運動後は筋肉が水分を溜め込みやすくなるので、むくみも起きやすい傾向があります。筋肉痛の対処は難しいですが、水分代謝を整えることによって、運動後に気になるむくみの症状は抑えることができるでしょう。
具体的な方法を見ていきましょう。

水分代謝の低下はマッサージでカバーできる

水分代謝が低下すると、筋肉がむくみやすくなります。そこで、筋肉のむくみを取り除く方法について考えてみましょう。

むくみを解消するうえでまず行うべきことは塩分や水分を過剰に摂取しないようにすることです。塩分をたくさん摂取すると身体は水分を溜め込もうとしますのでむくみはひどくなってしまいます。生理前のむくみは気をつけていたとしてもなかなか避けられないことも多いのですが、心がけるというのはとても重要なことです。

靴を履くことができなかったり、身体が重いなどむくみがひどかった場合には食事がどうこう言っていられません。そのような場合には早急にむくみを改善するようにしましょう。
マッサージをして溜まっている水分をしっかりと流してあげることで効率よく溜まった水分を取り除くことができます。

足の筋肉を増やしてポンプ作用アップ

足の筋肉量を増やすことで、ポンプの作用によって水分を押し戻すことができます。むくみが起こらないように、そしてむくみが起きたときには比較的即効性のあるマッサージが効果的です。これは圧迫することで水分や血液を動かすことを目的としています。

それと同じように、足の筋肉を強化することによって血液や水分を押し出す力を高めることができます。筋肉をつけて動かすことでポンプ作用が高まり血管を圧迫します。
そしてむくみによって滞っている水分や老廃物を押し戻すことができます。

筋肉をつける過程で筋肉痛が起こることがありますが、水分代謝が原因ではないので不安になる必要はありません。継続することで、むくみも筋肉痛も改善されていくでしょう。

筋肉量アップと同時に、身体を冷やさないことも大切です

冬場には誰もが身体を温めると思いますが、夏場にはついつい身体を冷やしすぎてしまうものです。そのため、冬場には身体をしっかり温めて、夏場にも身体が冷やしすぎないように心がけることで、代謝アップしますので水分代謝も高まり、むくみ解消に役立ちます。

むくみはむくんだときにだけ改善しようとするのではなく、常日頃からしっかりと心がけておくことが大切なのです。

顔の筋肉とむくみ

筋肉量がむくみの有無に関係すると言いましたが、これは顔においても同じです。二重の人が一重になったり、奥二重の人が一重になったりなどむくみによって顔が変わってきているのであれば、そのようなときにはふくらはぎなどもチェックしてみましょう。

筋肉がむくんだりお肌がむくむと、パンパンに張るだけではなく、お肌の表面に一枚薄い膜が張っているような感覚になります。これは顔も同じで、顔もむくみが出るとパンパンになって突っ張ったような感覚になります。

むくみの出ている状態で外出するというのは非常に嫌なことだと思いますので、顔の筋肉をしっかりと動かしてむくみを解消しましょう。顔の筋肉を動かすことで、ポンプ機能によって効率よくむくみを除去することができます。

筋肉量が少ない人は、筋肉痛もむくみも起きやすい

普段から運動する機会がない人は、どうしても筋肉量が少ないので、水分や老廃物の排出ができず、むくみやすい傾向があります。筋肉が少なければ筋肉痛も起きやすくなりますので、運動後にはむくみと筋肉痛に悩まされることも多いでしょう。

普段から意識をして、積極的に筋肉を動かすように心がけてください。筋肉の量を増やし、さらに水分代謝を整えてむくみを解消することで、運動後の症状も気にならなくなるでしょう。

(まとめ)水分代謝の低下が筋肉痛の原因になるの?

水分代謝の低下が原因となるのは、筋肉痛ではなく「むくみ」です

水分代謝を向上させることで、運動後にあらわれるむくみは改善が期待できます運動後に起こる筋肉痛とむくみは、違う原因で起こっています。

筋肉痛を避けることは難しいですが、むくみは水分代謝を整えることで改善効果が期待できるでしょう。食べ物やマッサージ、水分補給によって水分代謝を整えることを心がけましょう。