「喉が渇くから水分補給する」のでは少々遅いようです


喉の渇きを自覚するのは、自律神経の中枢である脳の視床下部にある「口渇中枢」の指令によるものです。

口渇中枢の指令で喉の渇きを自覚するときには、既に体内では多くの水分が失われている状態にあります。

体内の水分が失われる原因となるものには尿や発汗以外にも、病的なものも含まれます。

運動で汗をかいたわけでもないのにやけに喉の渇きを感じるのであれば、何らかの病気を疑う必要があります。

「喉が渇く」と感じるときは既に700ml程度の水分が体内で不足しています

体内の水分量のうち2%程度の水分、体重60㎏の人であれば700mlほどの水分が失われると、喉が渇いたと感じます。

それ程の水分が失われる前に水分を補うことが必要です。

発汗や尿量が多く喉の渇きを自覚し易い状態の場合は、糖尿病などの病気が背景にある可能性があります。

喉が渇くのは水分補給の不足の他に、体内からの水分の喪失が原因です

体から水分が失われる原因は、数多くあります。

それらの多くは、身体を守るために生じていると言っても過言ではありません。

では、体内から水分が失われる原因にはどのようなものがあるのか、どれくらいの水分が体内から失われると喉の渇きを感じるのか、さらに喉の渇きを引き起こすような病気について、ご紹介しましょう。

体から水分が出ていく経路

体から水分を出す方法としては、発熱、発汗、嘔吐や下痢などがあります。

暑すぎる環境にいると体表面の温度があがり、さらには体内の温度も高温になってしまいます。

そうすると、体内の細胞が正常に活動しなくなるため汗をかき、その汗が蒸発する際に体表面の熱を奪ってくれることで、体温を維持しているのです。

ですから、自分の置かれている環境の温度が著しく高いほか、わずかに暑いところであってもそれが長時間にわたる場合には、大量の汗をかくことになり、身体の水分が失われることになります。

嘔吐や下痢の場合はというと、胃腸の中に入った人体にとって有害なウイルスを体の外へ排出するために、下痢や嘔吐が起こります。

ウイルスを含んだ水分を吸収してしまうと、それが血液中に入り込み全身へとまわり、生命に危険が及ぶため、これを避けるために起こっています。

ただ、大量の発汗や長期間の嘔吐や下痢の場合、水分補給が適切でないと脱水症状を引き起こします。

脱水になると血液の流れが悪くなったり血圧が下がるため、脳への酸素や栄養素の供給が不足したり、身体全体のだるさにつながります。

水分補給をすることで、極力体内の水分量を減らさないようにすることが、身体を守るためにも重要なのです。

喉の渇きを自覚するのは、体内の水分量の2%程度が失われた時です

運動などによって大量の汗をかいたとき、人は必ずと言って良いほど喉の渇きを感じます。

どうしてなのでしょうか。

脳には自律神経の中枢である視床下部というところがあり、ここには喉の渇きを自覚させる口渇中枢があります。

ここでは、血液中のナトリウムという電解質の濃度をモニターしています。

発汗などによって血液中の水分にあたる血漿成分が失われ、相対的に血中ナトリウム濃度が上昇すると口渇中枢が刺激され、喉の渇きを自覚することで水分補給を促しているのです。

そして、おおよそ体内水分量の約2%、体重60㎏の人であれば720ml程度の水分が失われると、口渇中枢は刺激され喉の渇きを感じさせます。

さらに300ml程度の水分が失われると、脱水症状に陥ります。

つまり、500mlペットボトル1本分強の水分が体外へ出ていけば、既に体は水分不足に陥っているという訳です。

ちなみに、人が尿意を感じるのは、膀胱に約600ml程度の尿が溜まった時です。

ということは、水分を全く補給せずにトイレで尿をした場合、体内では水分不足に陥っているということになります。

体内の老廃物を排出するために、尿は必要不可欠です。

尿を作り出すためにも、体内で水分不足を引き起こす前に、水分補給が必要になるのです。

まめに水分補給しているのに喉が渇く場合は病気が背景にあるかもしれません

「最近、やけに喉が渇く」とか「飲み物を飲んでいる回数や量が多い」、あるいは「トイレに行く回数が多い」と感じている場合は、糖尿病が疑われます。

糖尿病は、空腹時であっても血液中の糖分の濃度が基準値を超えている状態になっています。

血液中の糖分は、腎臓で一旦ろ過された後に尿細管というところですべて再吸収され体内に戻されます。

ですが、著しく血糖値が上昇していると尿細管で再吸収することができなくなります。

腎臓に残った糖分は水分を引き込むため、それがそのまま尿として排出されます。

血糖値が高ければ高いほど、排泄される尿量が増え、体内では水分不足が起こり、喉の渇きを感じるのです。

そんなとき、「水分補給」と称してスポーツドリンクなどを飲むことは、逆効果となります。

気になる方は早めに医療機関を受診するとともに、水分補給の際はお水を飲むようにしましょう。

それから、疲れやすさと共に汗の量が多いと感じるのであれば、甲状腺機能亢進症などの病気が背景にあるかもしれません。

この病気、身体の細胞の代謝を必要以上に活発にさせるため体温が上がり、その結果汗の量が増えてしまいます。

これも、体内の水分を失わせる原因となります。

どちらの場合も、お水を飲むだけでは解決はできませんので、早めに医療機関に相談することをおすすめします。

喉が渇くのは、体内の水分量が失われていることの証拠です


体は体重に比してごくわずかな水分の不足でも、喉の渇きを感じ、時に脱水症状に陥ります。

体内の老廃物を適切に排出するためにも、また体内が水分不足に陥らないためにも、喉が渇く前に水分補給が重要となります。

また、身体から水分が失われていく原因にも目を向けましょう。

体内の水分を体外へ排出することを促進するような病気が隠れていると、身体は容易に水分不足に陥ります。

喉が渇く前に水分補給をし、その際にはスポーツドリンクなどではなく、お水を飲みましょう。

手遅れになる可能性もあるため、喉が渇く前に水分補給をしましょう

喉が渇いた状態では、身体は水分不足の状態になっています。

だからといって一度に大量のお水を飲んでも、そのすべてを体が吸収できるという訳ではないので、喉が渇く前にこまめに水分補給をするようにしましょう。”