幼児の水分補給は命の維持のために必要です

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幼児に限らず、人間にとっては、お水は欠かすことのできないものです。

特に、幼児の場合は、体重の65%~70%を水が占めているので、お水はとても重要なものとなります。

体内の水分量を維持するためにも、一日当たり体重1㎏あたりで90~100mLのお水は必要になってきます。

体内の水分が3%不足しただけでも、幼児の場合には脱水を引き起こし、様々な症状を生じるようになります。

それだけ、幼児にとってお水は重要な役割を果たしているのです。

幼児の水分補給が重要な理由

幼児や子供は、新陳代謝が活発です。

体が成長するために成長ホルモンが分泌され、活発に細胞分裂が起こり、細胞での代謝も活発で、そのために血液やリンパ液の基となっている水分がとても重要な役割を果たします。

また、汗腺は体が小さいのに大人と同じくらい存在し、発汗量は大人並みかそれ以上です。

ですので、その分水分を十分に補給しないと血流が滞り、すぐに脱水を起こしてしまうのです。

幼児にとって水分補給は重要です


幼児の体は、水分を必要としています。

一つには、血液やリンパ液が十分に流れやすい状態にするためということがあります。

もう一つ、幼児はよく汗をかき、また老廃物を体外へ排出するために尿を出すため、水分が体から奪われます。

常に、体にとって必要な水分量を維持するためにも、幼児にとって水分補給は必要なのです。

幼児は、脱水症になりやすいといわれています。

幼児にとって必要な水分量やその摂取方法、さらには幼児がなりやすいといわれている脱水症や熱中症について、見てみましょう。

体内での水分の役割

体内に存在する水分は、大きく2種類に分けられます。

一方は、細胞内液です。

細胞の内部に存在して、細胞の外から送られてくる栄養分、電解質や酸素、またそれらを代謝したあとに出来上がる二酸化炭素や老廃物を、細胞外液との間でやりとりしています。

細胞が正常に代謝するために、また幼児の場合は細胞分裂を活発に行うためには、お水はとても必要な存在です。

もう一方は、細胞外液です。

代表的なものの一つに、血液があります。

血液は体全体の組織や細胞へ、酸素や栄養分を送る働きがあるとともに、体温調節にも関与しています。

寒いときには、肝臓や筋肉で作られた体温を、末梢の冷えた手足へ運ぶ役割が、また暑い環境にいる場合には血液のうちの血漿成分を汗として出すことで、皮膚温度を下げようとする役割があります。

細胞外液には他に、リンパ液があります。

主にたんぱく質の老廃物を運んだり、人の免疫にかかわる細胞を保持したりする役割があります。

幼児の場合、特に細胞外液の占める割合が多いといわれています。

少々の水分不足でも血液の流れが滞ることで様々な症状が出現するのは、そのためなのです。

幼児は脱水症になりやすい

体の中で水分の占める割合が特に多い乳幼児の場合、わずかな水分不足でもすぐに脱水症になってしまうといわれています。

それはどうしてなのでしょう?

細胞外液の量

細胞外液の量が多い割に、汗や尿などで奪われる体液は、細胞外液から始まることが殆どであるためです。

不感蒸泄が多い

吐く息や皮膚から自分では感じない程の汗をかいている状態のことを不感蒸泄と言います。

幼児の場合、この不感蒸泄の量が多く、体重1㎏あたり多いときで25mLもの体液が奪われるといわれています。

腎臓の機能が未熟

腎臓の機能が未発達のため、大人なら腎臓で行われている水分や電解質の再吸収が十分に行われず、体から水分、電解質ともに奪われやすいようです。

細胞外液の入れ替わりが激しい

大人と比べて細胞外液の入れ替わりの量が多く、1/2程度(ちなみに、大人の場合は1/7程度)が入れ替わるとされています。

下痢や嘔吐などで、容易に水分不足に陥るのは、このためなのです。

幼児は新陳代謝が活発です。

それに加えて、上記の理由で水分が体から奪われやすい状態にもなっています。

十分なお水を適宜補うようにしないと、脱水症になりやすいのは、このためなのです。

幼児の水分補給には糖分は禁物

幼児はとにかくよく動き回ります。

筋肉がそれだけ活発に働けば、体温も上昇しますので、その分体温調節のために汗もかくようになり、水分が体から奪われるようになります。

どんなタイミングで、どのような水分補給を行ったらよいのでしょうか。

口が渇く前にお水を飲む

大人の場合でも同様なのですが、口が渇くという症状が現れたときには、既に水分不足はかなり進行していると思ったほうが良いようです。

口が渇いてからお水を飲むというのは、手当が遅れているという可能性が高そうです。

そのため、汗をかきそうな場面、水分が失われるような場面が想定されたら、その前にお水を飲むことが勧められています。

また、もちろん汗をかいた後にも、水分補給が必要です。

たとえば、幼児が遊びで走り回る前後や入浴前後、また寝ている間にも汗はかきますので、寝る前と寝起きに水分補給などがおすすめです。

水分補給するなら、水かお茶で

体から水分が奪われるときに、同時に電解質の一つであるナトリウムも奪われることは、有名ですよね。

だからといって、スポーツドリンクを飲ませるのは、避けましょう。

スポーツドリンクには、ミネラルと同時に糖質も多く含まれています。

食事がとれないときに糖質を補給するためにスポーツドリンクを飲ませるのは良いことかもしれませんが、幼児が運動して水分不足になった場合には糖分を余計に補給すると血糖値が急激に上昇してしまいます。

できればお水や麦茶、お茶などを飲ませて、失われた水分とナトリウムのみを補給するようにしましょう。

幼児は自分では水分不足に気づきづらい

幼児がお水をほしがる、機嫌が悪い、あるいは興奮気味の状態にあるときには、既に体内の3%の水分が奪われている状態にあるといわれています。

普段と比べて水分摂取量が少ないとか、余計に汗をかいている状態にあるときには、やはり周囲の人が気づいて先回りするような形でお水を飲ませてあげることが必要になってくるようです。

水分を補給する際には、お水や麦茶に少々の塩を混ぜるなど、体から奪われたミネラルも同時に補ってあげると良いでしょう。

水分は必要、でもがぶ飲みは控えましょう

幼児の体には、水分は必要です。

ですが、がぶ飲みすると胃液が薄まってしまい、その後の食事で十分に消化できなくなってしまう可能性もあるようです。

水分補給する際には、コップ一杯程度を目安に飲ませてあげると良いでしょう。