ミネラルウォーターには農林水産省が決めた定義があります

ミネラルウォーターの定義
普段から何となくミネラルウォーターと呼んでいる水に関して、それをミネラルウォーターと呼ぶ明確な定義があることはあまり意識していないものです。

日本では、ミネラルウォーターと呼ばれるものに対する定義が存在しており、それに基づいて各製品は品名表示を行っています。
これは、農林水産省によって規定されたガイドラインに準拠したものであり、厳密には、ナチュラルミネラルウォーターに殺菌、成分調整を施したもののみを「ミネラルウォーター」と呼ぶことになっています。

農林水産省のガイドライン(指標)とはどのようなものなのか

農林水産省によって1990年に制定された「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」と呼ばれるものがあります。
現在市場に流通している日本製のミネラルウォーターは、このガイドラインによって分類され、市場へ出荷されるのです。

これは、ミネラルウォーターの原料となる水の採水方法、また加工の有無などによって振り分けられるものであり、食品衛生法の成分規格と並行して順守されています。

農林水産省と海外のミネラルウォーターの定義を比較

農林水産省が定めたミネラルウォーターについてのガイドラインによる定義とは、以下のようになっています。

ミネラルウォーターの分類

ガイドラインによれば、飲料水の中でも大きな分類としてあるミネラルウォーター類とされるものの中で、主に2つに分けられた後、さらにそこからいくつかに分類が行われます。

  • ナチュラルウォーター
    ここに分類される水には2種類あり、ナチュラルウォーターとナチュラルミネラルウォーターとなっています。ナチュラルウォーターとは、地層からくみ上げられた地下水を指し、ナチュラルミネラルウォーターはその中でも特に無機塩が水中に溶けだしたものと定義されます。
    いずれも、この分類では化学的な殺菌処理などを行わず、自然ろ過や加熱殺菌にとどまるものであることが規定されています。
  • ミネラルウォーター
    この分類では、いわゆる一般的にミネラルウォーターと認識されるものが適用されます。
    ナチュラルミネラルウォーターの中でも特に人工的な殺菌処理や浄水処理、または成分調整したものを定義しており、製品としての品質を安定させる目的で手を加えたものと考えることができます。
    その加工方法とは、複数のナチュラルミネラルウォーターを調合したり、曝気(空気を注入して有機反応を起こさせ、浄水する方法)やオゾン殺菌などを施したりといったものが挙げられます。
  • ボトルドウォーター
    この分類では、上記に挙げた地下水以外に、河川などの水源から採水したものや蒸留水なども含め、飲料水として適用されるもの全般が適用されます。
    ここに定義される水は、農林水産省が制定したガイドラインとは別に、厚生労働省が制定した水道法によって食品製造用水と定義されたものが当てはまります。

海外での定義

海外におけるミネラルウォーターに定義は日本とは異なります。日本のように微細な定義ではなく、また殺菌処理をしているか否かという規定も特にありません。

この分類は世界的に通用する国際規格であるコーデックス(食品規格)によって定義されているものです。

コーデックスによる3つの定義
  • ナチュラルミネラルウォーター
    殺菌処理なしでその他人工的な加工を行わない水の中で、特にそこに含まれる成分について医学的もしくは科学的に立証されているものという条件があります。
    さらに、採水の際に空気に触れずそのままボトリングしていること、また品質が安定していることなどの基準をクリアしたものがこの分類に含まれるのです。
  • スプリングウォーター
    これは、特定の水源から採水した地下水で、上記の条件以外の無添加の水を指します。
  • プロセスドウォーター
    これは地下水の中でも特に加熱などの殺菌処理がなされ、またミネラル分の調整が行われるなどの手を加えた水を指します。

海外製のものは食品規格分類に準拠する

日本でも海外製のミネラルウォーターが多数販売されています。

日本のメーカーが海外提携を行っていたりすることが多く、販売元は日本の会社であるものも多いですが、こうした海外製のミネラルウォーターは前述のコーデックス(食品規格)による分類によって製品化されています。

つまり、日本のミネラルウォーターの定義に準拠したものではないため、基準が異なるのです。

品質について気になる方は、そういった点もチェックしておきましょう。

自然のままの恵みか、より高い安全性かを比べてみる

天然水とは
日本でのミネラルウォーターの定義では、何らかの殺菌処理もしくは浄水処理などを施したものが適用されます。

ナチュラルミネラルウォーターに関しても、加熱処理やろ過処理は行えるため、クリーンな品質がある程度保たれるのです。

一方で、自然のままの状態を味わいたいという場合は、日本の水のように何らかの手を施したミネラルウォーターでは満足できないかもしれません。

そうした視点から、日本産のものと海外産のものを比べてみてもよいでしょう。

日本の水は安全性が高いといえるでしょう

日本で製造されたミネラルウォーターに関しては、より微細な定義と基準によって製造されたものが広く流通しています。
日本の飲料水に関してはこうした細かなガイドラインによって確固たる安全性が保証されているのです。

その恩恵を受けて、私たちは今日も安心してミネラルウォーターを利用できます。