母体の水分補給が足りないと羊水量が減少する可能性も考えられます


子宮内で赤ちゃんは卵膜という袋に囲まれています。

卵膜は、主成分が羊水で満たされており、その中で赤ちゃんは浮いています。

羊水は、赤ちゃんの体を守ったり、発育を促したりなど重要な役割を担っています。

羊水のほとんどは母体が摂取する水分で作られるため、母体の水分が不足すると作られる羊水量も減ってしまいます。

そうなると、赤ちゃんの身が危険に晒されるリスクが高まるので、十分な量の羊水が確保されるように妊娠中の水分補給はとても大切なのです。

羊水は子宮内でどんな役割を担っているのか?

赤ちゃんは、出産後自発呼吸ができるように子宮内で、空気の代わりの羊水を吸いこみ、排出するという呼吸の練習を行っており、羊水は肺の発達のためにも欠かせません。

更に、羊水は外からの衝撃を和らげるクッションの役目や、赤ちゃんが狭い子宮内でも自由に動き回り、骨や筋肉を発達させるための運動空間を作り出すという役割に担っているのです。

妊娠中に十分な羊水量を確保するための水分補給の仕方

妊娠中は、赤ちゃんの命を守ったり、体の機能を発達させたりするために羊水が必要不可欠です。

十分な羊水を作り、子宮内を羊水で満たすためには妊婦さんの水分補給が大事です。

そこで、妊娠中に効率よく必要な量の水分を摂るための、そして体に優しい水分補給の仕方を紹介します。

妊娠中は通常よりも多く水分補給が必要となる

妊娠初期は悪阻による嘔吐を繰り返す人の場合、特に水分が不足しがちになります。

妊娠中期以降は逆に食欲が出てきて増えた脂肪を燃焼するために新陳代謝が上がって体温も上昇し、汗をかきやすくなるせいで水分の消費量が増加します。

更に、お腹の赤ちゃんに血液を使って栄養分を多く送り届けるようになるため、血液量自体も増えてきます。

血液の主成分は水分であるため、必然的に多くの水分を体が欲するようになるのです。

また、子宮内で赤ちゃんを取り囲む羊水も、主成分が水分であり、妊娠週数が進むにつれてより多くの羊水が必要となります。

母体の水分量が不足すると、血液がドロドロになって流れにくくなり、赤ちゃんに十分な栄養分が行き届かなくなったり、母体が脱水症状を起こしたり、羊水が不足して赤ちゃんの命に関わる危険性が高まるなど母体と胎児に様々な弊害をもたらします。

妊娠中に必要な1日の水分量と水分補給のタイミング

一般的に大人は生命を維持するために、1日に最低でも約1.5リットルの水分が必要だと言われています。

しかし、妊婦さんの場合は最低でも1日約2リットルもの水分が必要とされており、通常時よりも多量の水分を摂取しなければならないとされています。

ただ、日頃からあまり水分を摂取する習慣のない妊婦さんだと、普段の倍は量がある水分を摂るのは難しいかもしれません。

水分補給を習慣化させるためには、1日の中で水分を摂るタイミングを大体決めておくとよいでしょう。

まず、睡眠中は汗をかきやすく多量の水分を失っているので寝る前と寝起きに、更に胃酸を薄めて胃もたれを防ぐ意味でも食前30分前と食後3時間ほど経過したあたり、また入浴時も汗をかくので入浴30分前と入浴後に、それぞれコップ2杯位の水分を補給しましょう。

後は家事を終えた後や、外出前後などに意識して水分を補給して置いて下さい。

妊娠中の水分補給に適した飲み物

妊娠中の水分補給は、どんな飲み物でも良いというわけではありません。

コーヒーや紅茶、緑茶などは利尿作用のあるカフェインを多く含むため、体内の水分が尿として優先的に排出されてしまう可能性や、消化機能が未発達な赤ちゃんの体内に残留してしまう可能性があります。

カフェインを含む飲み物は、逆に体内に水分量を減らしてしまい、血液の流れが悪くなるなど母体にも胎児にも良いとは言えなのでやめましょう。

またジュースやスポーツ飲料も糖分が多く、体重コントロールがしにくいので控えたほうがよいでしょう。

妊娠中は、不純物などが含まれていないピュアウォーターや麦茶などが適していると言えます。

羊水が減少すると、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことも


子宮内の羊水量が減少すると、赤ちゃんを守るクッションが薄くなってしまうので体への負担が大きくなります。

更に、飲んで排出する羊水量が減るので心肺機能が低下するリスクや、未発達になるリスクも高まります。

また、赤ちゃんが子宮内で自由に動き回れなくなるので、胎動が減ってしまう場合もあります。

羊水過少症を発症すると、赤ちゃんを守るためにも羊水量が増えるまで入院安静を余儀なくされるケースや、予定日前に緊急で出産を行うケースもあるのです。

こまめな水分補給を心がけましょう

妊娠中は、以前よりもたくさんの水分補給が必要となります。

喉が渇いたと感じた時は、既に体が水分不足に陥っているのです。

水分補給のタイミングと適切な量を意識しながら、こまめにお水や麦茶などの体に優しい飲み物を摂るようにしましょう。